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割増賃金

2016-09-01

■ 割増賃金とは何なのか

使用者(もちろん建設業の経営者も含みます)は、労働基準法37条に基づき、労働者の時間外・深夜・休日労働に対して、通常の労働時間又は労働日の賃金計算額の25%〜50%の範囲内で政令で定める割増率を上乗せした割増賃金の支払義務があります。

割増率は労働基準法37条を受けて、政令で規定されています。その内容は、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて労働者を働かせた時間外労働の割増率は、25%以上となっています(月60時間を超える場合には50%以上)。また、午後10時から午前5時までの労働(深夜労働といいます)についても、同様に25% 以上となっています。時間外労働と深夜労働が重複した場合は、2つの割増率を足すことになりますので、50%以上の割増率となります。また、1週1日以上又は4週4日以上と定められている法定休日に労働者を働かせた場合は、休日労働として35%以上の割増率となります。休日労働と深夜労働が重複した場合、割増率は60%以上となります。

■法定内残業と時間外労働の違い

割増賃金を支払わなければならない「時間外労働」とは、法定労働時間(週40時問、1日8時間)を超える労働時間のことです。しかし、労働基準法は、就業規則で定められた終業時刻後の労働のすべてに割増賃金の支払をするように定めてはいません。

たとえば、ある会社の就業規則で9時始業、17時終業で、昼休み1時間と決められているのであれば、労働時間は7時間です。そこで18時まで「残業」したとしても、8時間の枠は超えていませんから、時間外労働とはならないのです。この残業のことを法定内残業といいます。法定内残業は時間外労働ではありませんから、使用者は割増賃金ではなく、通常の賃金を支払えばよいのです。しかしながら、この場合でも使用者が割増賃金を支払うことについては問題ありません。建設業の業務においても昼休みはありますから、留意するポイントです。

■三六協定を結ぶ

時間外労働は、労使間で時間外労働について労使協定を結び、その範囲内で残業を行う場合に認められます。この労使協定のことを、労働基準法36条から三六協定といいます。同じ建設業の会社であっても、残業の必要性は事業場ごとに異なりますから、三六協定は事業場ごとに締結する必要があります。事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(それがないときは過半数を代表する者)と書面による協定 (三六協定)をし、これを労働基準監督署に届けるよう義務付けられています。

■三六協定の締結方法について

三六協定で締結すべき事項は、①時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由、②業務の種類、③労働者の数、④1日及び1日を超える一定の期間について、延長することができる時間又は労働させることができる休日です。④については、限度時間が決められています。労働者の同意があっても、限度時間を超えて働かせることはできません。

また、三六協定は協定内容について有効期間の定めをしなければなりませんが、その長さについては労使の裁量にまかせられています(ただし無期限の協定は不可)。
なお、三六協定で定めた労働時間の上限を超えて労働者を働かせた使用者に対しては6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されることになります(労働基準法119条1号)。建設業の経営者も三六協定は締結しましょう。

建設業と賃金

2016-08-31

■賃金とは何を指すのか

通常は、「賃金」というと「給料」そのものを指します。しかし 労働基準法上の賃金は給料だけでなく、広く「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」とされています(労働基準法11条)。
賃金には直接的な労働の対価のみならず、家族手当、物価手当のように生計を補助する目的のものや、通勤手当のように労働の提供をよりよくさせるためのもの、また休業手当や年次有給休暇中の賃金のように実際には労働しなくても法が支払いを義務付けているものも含まれます。就業規則などに記載された基本給の他、役職手当、時間外手当、家族手当、住宅手当も賃金にあたります。
また、賞与や退職金は、労働協約、就業規則、労働契約によってあらかじめ支給の条件が決められていれば、使用者に支払いが義務付けられることになるので賃金になります。
さらに、結婚祝金、出産祝金、病気見舞金、災害見舞金、近親者死亡の際の弔慰金などの使用者が任意的、思恵的に支払うものも、就業規則などに明確な支給条件が規定されていれば、賃金とみなされます。このように、「賃金」の定義は広いので、建設業の経営者も十分に気をつけてください。

■最低賃金とはなんなのか

賃金の額は使用者と労働者との合意で決定されます。しかし、不景気、会社の経営状況の悪化などで、一般的な賃金よりも低い金額を提示する使用者もでてきます。その場合、立場の弱い労働者は、提示額をそのまま受け入れざるを得ないという状況になり、厳しい生活に陥ってしまいます。そこで、国は最低賃金法を制定し、賃金の最低額を保障することによって労働者の生活の安定を図っています。最低賃金法の対象となるのは労働基準法に定められた労働者(パートタイマーやアルバイト含む)です。たとえば、個別の労働契約で、最低賃金法を下回る賃金を設定していたとしても、その部分は無効であり、最低賃金法の賃金額で契約したものとみなされます。もし、最低賃金法未満の賃金しか支払っていない期間があるのであれば、事業者はさかのぼってその差額を労働者に支払わなければならなくなります。
最低賃金には、①地域別最低賃金、②特定最低賃金(従来の産業別最低賃金)があり、どちらも都道府県ごとに設定されています。これらは、ほぼ毎年改正されています。原則として地域別最低賃金が適用されますが、特定最低賃金と競合する場合は、一般に、金額の高い特定最低賃金が優先して適用されます。なお、試用期間中の者や、軽易な業務に従事している者、一般の労働者と比べて著しく労働能力の低い労働者などについては、都道府県労働局長の許可を得ることによって最低賃金額を下回る賃金を設定することができます。建設業の経営者も最低賃金の定めをしっかり認識してください。

■出来高払制の保障給とは何か

月給制、日給制、時給制などのように一定の期間、日、時間を単位として決まる賃金の支払形態と異なり、出来高払制その他の請負制は、仕事量の変動によって賃金額が大きく変動します。そのため、仕事量が少ないと生活が困窮する事も考えられます。出来高払制は極めて不安定な賃金の支払形態といえます。建設業は、仕事量の変動が比較的でやすい業種と言えるでしょう。
労働基準法では、最低限の生活ラインを維持するための規定を設けています。つまり、労務を提供した以上、その仕事量が少ない場合であっても、一定額の賃金を保障することを義務付けています(労働基準法27条)。この保障給とは、すなわち固定給のことです。仮に労働者の出来高が全くない場合でも、使用者は、労働時間に応じて一定額の賃金の支払いを保障しなければならないというものです。
保障給は、「1時間についていくら」と定める時間給でなければなりません。月、週について定めた場合でも、実労働時間の長さに応じて賃金額が増減されるようなものは、労働時間に応じたものとされます。また、全額請負制だけでなく 一部の請負制についても、請負給に対して保障する必要があります。ただ、賃金構成で国定給の部分が賃金総額の6割程度以上を占めている場合には、請負制に該当しないとされています。

■保障給の支払いが必要な場合

労働基準法27条での保護は労働者が就労した場合を対象としています。したがって、単なる欠勤のように使用者の責任がなく、労働者が労務を提供しなかった場合は、保障給を支払う必要はないのです。
労働基準法の規定では、一定率ではなく、労働時間に対して一定額とされているだけです。具体的に最低額の定めがあるわけではありません。この制度の趣旨を鑑みて、労働者の生活保障のために、通常の実質収入とあまり差のない程度の賃金が保障されるように定めることが望ましいでしょう。行政の見解として、休業手当が平均賃金の100分の60以上の支払いを義務付けていることを考慮すると、労働者が実際に就労している賃金の場合も平均賃金の100分の60程度は保障すべきとされています。
この保障給は「労働時間に応じ」とされていますから、前述したように1時間についていくらと金額を決める必要があります。日や月によって保障給を設定することもできます。しかし、この場合も労働時間の増減に応じて金額が変わるようにすることが必要です。また、時間外労働を行った場合は割増賃金の支払義務も生じます。なお、最低賃金法の適用がある労働者の場合には、その最低保障額以上の支払いが義務付けられています。出来高払制における保障給は、労働時間に応じることになっていますから、最低賃金の時間額が適用されます。

■平均賃金とは何なのか

「賃金」は労働者が働いたことへの対価として使用者から支払われるものです。一方、何らかの事情で働けなかった、あるいは働かなかった期間であっても、賃金が支払われることがあります。
たとえば有給休暇を取得した場合や、労災事故など によって休業した場合などがこれにあたります。この場合、その期間の賃金の額は会社側が一方的に決めるのではなく、労働基準法の規定に基づいて1日の賃金額を算出し、これに期間中の日数を乗じた額とすることになっています。
その基準となる1日の賃金額を、労働基準法上では平均賃金と呼んでいます。平均賃金の算出方法は原則として、「これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」(労働基準法12条)により、算出します。平均賃金は、次のような場合に使用されます。
① 解雇を予告するとき
労働者を解雇する際に、30日前に予告をしない場合、使用者は30日分以上の平均賃金を解雇予告手当金として支払うこととされています(労働基準法20条)。
② 休業手当を支給するとき
機械の故障や業績不振など、使用者側の事情で労働者を休業させる場合、使用者は休業期間中、労働者にその平均賃金の100分の60以上の手当を支給することとされています(労働基準法26条)。就業規則等に定めがない場合には平均賃金の100分の60が支給されます 。
③ 年次有給休暇を取得するとき
労働者が年次有給休暇を取得する場合、平均賃金、健康保険の標準 報酬日額、又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を用いて算定します(労働基準法39条)。
④ 災害補償をするとき 業務上の負傷や疾病が原因で労働者が休業などをすることになった場合、使用者が補償する賃金について、平均賃金を基準に算定します。
⑤ 懲戒処分の減給額の基準
不祥事などを起こした場合 、会社から懲戒処分として減給処分を受けることもありますが、減給額は1回の処分につき平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、1か月を合計して賃金総額の10分の1を超 えてはならないという制限が設けられています。

■休業手当とは何なのか

労働基準法26条は、使用者の責任による休業の場合、使用者は休業期間中、当該労働者に対し、その平均賃金の60% 以上の手当を支払わなければな らないと規定しています。これを休業手当といいます。
休業とは、労働契約上労働義務のある時間について労働ができなくなることをいいます。一斉休業であっても1人だけの休業であってもかまいません。丸1日の休業だけでなく1日の所定労働時間の一部だ けの休業も含まれます。
休業手当支払義務が発生する休業理由としては、原材料の欠乏、親会社の経営難によって下請工場が資材・資金を獲得できないことによる休業、違法な解雇による休業、流通の不円滑による資材の入手難、機械の検査、監督官庁の勧告による操業停止、などが挙げられます。
一方、天災事変、電休(電力供給がなくなること)による休業、労働安全衛生法に基づく健康診断の結果による休業 、一部労働者のストライキによる他の労働者の休業、法令に基づくボイラー検査などによる休業については使用者に休業手当 支払義務が生じません。
労働基準法の休業手当支払義務は強行法規(当事者間でその規定と異なる特約をしてもそのような特約の効力が認められない規定のこと)ですから、労働者に対する平均賃金の100分の60以上の支払いが保障されており、保障の程度について労使間で100分の60を下回る特約を定めたとしても、そのような特約に効力は認められません。

建設業の労働時間・休憩・休日

2016-08-30

■法定労働時間は週40時間、1日8時間である

仕事が多忙であっても、使用者は労働者に対していかようにも残業を命じることはできるというわけではありません。労働基準法では、「法定労働時間(週刊時間、1日8時間)を超えて働かせてはならない」という原則があります(労働基準法32条)。

これに違反する場合には刑事罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されます(労働基準法119条)。建設業の経営者も十分に配慮しましょう。

■休憩時間も法律で規定される

労働時間は休憩時間を除外して算出しますが、別途で休憩時間にも定めがあります。使用者は労働者に対し、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与えることになっています。

また、休憩時間は労働時間の途中に 一斉に与えなければならないとされています。交替で休憩させる場合などは、労使協定により例外が認められます。

一般的に建設業も含み会社では、まとまった休憩時間を昼食時に設定しています。一斉に与えなければならないとしているのは、パラパラに休憩をとると休憩がとれない場合や、休憩時聞が短くなる労働者が出るということが懸念されるからです。
また、休憩時間は拘束してはいけません、

■法定休日とは何か

労働基準法は「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。
会社(建設業経営者)は労働者に毎週1日の休日を与えることに代えて、4週を通じて4日以上の休日を与えるという制度をとることも可能です。これを変形週休制といいます。

労働基準法は休日労働を禁止しています。週1日の休日又は4週4日の休日(変形週休制が採用されている場合)は、労働者が人間らしい生活をするために最低限必要なものと考えているからです。。

しかし、週休2日制を採用している場合、2日の休みのうち1日は労働基準法上の休日である「法定休日」ではありませんから、どちらかの日に仕事をさせても違法な休日労働にはなりません。

■代休と振替休日の違いとは

たとえば、使用者(建設業経営者)が「日曜に出勤してほしい。その代わり翌月曜日は休んでよい」という命令を出すと仮定します。この場合、月曜日が振替休日なのであれば割増賃金の支払義務はありませんが、代休であれば支払義務が生じます。

振替休日とは、就業規則などで休日があらかじめ決まっている場合に、事前に休日を他の労働日と入れ替え、あらかじめ休日と定められていた日に労働し、その代わりに他の労働日を休日とすることです。元々の休日は労働日となるので、休日労働とはならないのです。
一方、代休は、法定休日に労働させたことが前提になり、もともとの休日に出勤させ、使用者がその代償として事後に与える休日です。したがって、割増賃金の支払義務が生じるわけです。その代わり、使用者は代休を与える義務は法的にはありません(代休を与えたとしたらそれは,恩恵的なものです )。

振替休日にするには、以下の要件が必要です。
①就業規則などに「業務上必要が生じたときには、休日を他の日に振り替えることがある」旨の規定を設けること。
②あらかじめ、休日を振り替える日 を特定しておくこと。
③遅くとも、前日の勤務時間 終了までには、当該労働者に通知しておくこと。

事前に休日の振替えをしなかった場合でも、休日に労働させたことをなかったことにはできません。使用者が振替命令を出すには、労働協約や就業規則に規定されているか、または労働者が事前に同意しているかのいずれかが必要です。加えて1週1日又は4週4日の休日が確保されることも必要です。

なお、代休となる場合は、恩恵的な休日ですから、無給でもかまいませんが、就業規則で明確にしておくべき事項です。
休日勤務は割増賃金の支払をめぐってトラブルになることがありますから、休日勤務届出書、代休請求願、振替休日通知書などの書面を利用して、労働日数の管理を徹底させるのがよいでしょう。

建設業の労働者の雇用

2016-08-29

■雇用形態の種類

建設業を営むと、人材も必要になります。採用の必要性の確認、雇用のコストの検討の後に、人材を雇用することを決定した場合、次はどのような形態でその人に働いてもらうかを考える必要があります。
・正社員
正社員は、会社との結びつきが最も強い雇用形態です。会社を支え、末永く勤務してほしいと思うのなら、正社員としての雇用がいいでしょう。
・契約社員
1年などの期間を設区切られて雇用される社員です。専門的な知識を持った人を期間限定で雇用したい場合や、期間中の働きぶりを見て契約更新をするか否かを決定したい場合にはこの形態が好ましいでしょう。ただし、特に契約内容を見直すことなく更新を繰り返すと期間満了だけを理由に契約を終了できなくなりますので、注意が必要です。
なお、雇用期間の定めがある場合には3年を超えて労働者を雇用する契約は原則として許されません(労働基準法14条)。

■労働条件の明示

労働契約は労働者(被雇用者)が使用者に労務の提供をすることを約し、使用者がその対価として賃金を支払う契約です。建設業を営む使用者も労働契約の締結にあたり、労働条件を明示することが必要です。明示する内容は賃金や労働時間などで一定の事項については書面による交付が義務付けられています。

■労働者の間接差別とは

直接に人種・性別・宗教などを差別していなかったとしても、結果的に人種・性別・宗教を理由に差別することになる条件を付けることを間接差別といいいます。男女雇用機会均等法7条は、事業主が性別により労働者を間接的に差別することを禁止しています。具体的には、身長・体重や体力に関することを採用の条件とすること、転勤が可能であることを採用の条件とすること、転勤の経験があることを昇進の条件にすることが禁止されています。ただし、条件をつけることに合理的な理由がある場合には、間接差別にはなりません。例をあげると、建設業務の中で重い物を持ち運ぶという内容の仕事があるために、労働者に体力が要求されるというような場合には、体力に関することを採用の条件とすることも認められます。

■高齢者雇用安定法や職業安定法

以前は60歳定年の会社が多数で、退職すれば年金生活に入るのが 一般的でした。しかし、最近は元気な高齢者が増え、年金を受給できる年齢も65歳に延長されるなどの事情から、定年を過ぎても働きたい、あるいはは働かざるを得ない高齢者が増加しています。このような社会情勢を反映して制定された高齢者雇用安定法では、求人募集をする際に65歳を下回ることを条件とするときは理由を明示するように義務付けるなど、原則として年齢制限をすることを禁じています。
また、職業安定法では、労働者が従事する業務の内容や契約期間、労働条件などについて文書等で明示することを義務付けています。作成しておいた方がよいでしょう。

■退職する労働者に賃金減額等のペナルティ

労働者の賃金を会社の都合で 一方的に減額することは、労働基準法により禁止されています。
しかし、会杜の業務に必要な資格をとるための費用を会社で負担したにも関わらず、労働者が短期間で退職してしまったというようなケースでは、会社がその費用を労働者に請求することを考えるのも無理はありません。このようなケースでは、賃金と相殺するのではなく、あらかじめ就業規則等で「一定期間を経過する前に退職する場合は資格取得に要した費用を労働者が弁済する」などと規定し、別途支払ってもらう形をとるようにするとよいでしょう。

建設業の入札契約適正化法

2016-08-25

■入札契約適正化法で どんなことが義務付けられているのか

入札契約適正化法(「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」)は、公共工事の入札・契約の適正化の基本事項を規定しています。この基本事項を通じて、公共工事に対する国民の信頼とこれを請け負う建設業の健全化を図ることを目的としているのです。

その背景には、公共工事をめぐった贈収賄、談合などの事件が過去に多発したことがあります。こうした事件が公共工事に対する国民の不信を招いてしまい、公共工事の入札・契約制度全般にわたる全面的な改革を行ったのです。
「透明性の確保」「公正な競争の促進」「適正な施工の確保」「不正行為の排除の徹底」を基本原則として、「すべての発注者に義務付ける事項」と 「各発注者が取り組むべきガイドライン」が定められています 。「すべての発注者に義務付ける事項」には、次のものがあります。

まず、毎年度の発注の見通しと入札者名・入札金額・落札者・落札金額・契約者・契約金額などの「情報の公表」です。次に「不正行為等に対する措置」です。独占禁止法違反については公正取引委員会に、建設業法違反については国土交通省・都道府県に通知する必要があります。また、発注者は、施工体制台、辰の写しの提出など、施工体制の適正化に関する事項が義務付けられています。

■指針で規定されている事項

「各発注者が取り組むべきガイドライン」の具体的内容として、「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(適正化指針) が閣議決定されています。

■入札契約適正化法における建設業法の特例

入札契約適正化法の目的は、公共工事における入札制度の透明性向上と不正防止にあります。このため、次のの2点について、建設業法の特例として、厳しい措置がなされました。

① 一括下請の全面禁止
建設業法においても、一括下請を原則禁止にしています(22条3項)。しかし、同条3項では、併せて例外規定を設けており、「元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合には、適用しない」と定めており、発注者の事前の承諾があれば、一括下請もできます。この規定について、入札契約適正化法は、「公共工事については、建設業法22条3項の規定は、適用しない」(入札契約適正化法12条)と定め、公共工事での一括下請の全面禁止を明らかにしました。

② 施工体制台帳の写しの提出義務
上記①の措置は、不良・不適格業者を公共工事から排除する目的で規定されたものですが、一括下請の禁止を徹底するために、建設業法24条の7第3項に定める施工体制台帳の「閲覧」規定の適用を排除し、発注者への提出を義務付けました(入札契約適正化法13条)。

■現場点検とは何をするのか。

入札契約適正化法では、公共工事の発注者は、施工技術者の設置の状況その他の工事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検その他の必要な措置を講じなければならないとしています(14条)。この点検では、施工体制台帳に記載された下請業者を含めた建設業者等が実際に施工しているか、監理技術者等の配置・専任が適正に行われているか、元請・下請の施工範囲が台帳通りに行われているかなどが確認されます。

その結果、不適切な施工体制と判明すれば、必要な措置を受けることになります。下請負人の変更を求められる場合や、契約を解除される場合、監督官庁に通知され 、監督官庁から処分される場合もあります。

建設業のJVで生じる問題

2016-08-22

■JVで作業する場合の現場での技術者配置の注意点

JVの工事現場における技術者の配置は、甲型JVと乙型JVであるか、下請代金の総額が3000万円未満又は以上であるかによって、技術者の配置が次のように違ってきます。

1 甲型JVの場合
① 下請代金の総額が3000万円(建築一式の場合4500万円)未満の場合すべての構成員が主任技術者を配置する必要があります。なお、JV工事の主任技術者は、国家資格を有する者とすべきとされています(共同企業体運用準則)。また、発注者からの請け負った建設工事の請負代金の額が、2500万円 (建築一式の場合5000万円)以上の場合は、主任技術者の全員が当該工事に専任となります。

② 下請代金の総額が3000万円(建築一式の場合4500万円)以上の場合、構成員のうち1社(通常は代表者)が監理技術者を配置します。他の構成員は主任技術者を配置します。監理技術者及び主任技術者は当該工事に専任となります。なお、①と同じく主任技術者は国家資格を有する者とすべきとされています(共同企業体運用準則)。

2 乙型JVの場合
① 分担工事に係る下請代金の総額が3000万円(建築一式の場合4500万円)未満の場合すべての構成員が主任技術者を配置する必要があります。主任技術者は国家資格を有する者とすべきとされています。また、分担工事の請負代金の額が2500万円(建築一式の場合5000万円)以上の場合は、主任技術者は専任となります。

②分担工事に係る下請代金の総額が3000万円(建築一式の場合4500万円)以上の場合代表者、構成員に関わらず分担工事の下請代金が3000万円(建築一式の場合4500万円)以上となった者は、監理技術者を配置する必要があります。それ以外の構成員は主任技術者を配置します。なお、主任技術者は国家資格を有する者とされています。また、分担工事の請負代金の額が2500万円 (建築一式の場合5000万円)以上の場合は、監理技術者及び主任技術者は専任となります。

■完成工事高の計算や施工体制台帳等の作成上の注意点

ジョイントベンチャーの場合、複数の建設企業が工事や関わっているため、実績や施工体制台帳等の管理についても注意を要します。完成工事高とは、請負工事契約に基づく工事の収益のことです。つまり、売上高に相当するものです。甲型JVによる工事の完成工事高の計算方法は、工事請負代金に各構成員の出資比率を乗じて算出した額となります。また、乙型JV による工事の完成工事高の計算方法は、運営委員会で定めた各構成員の分担工事の額となります。

また、JV は、複数の建設企業が、1つの建設工事を受注、施工することを目的として形成された事業組織体ですので、法人格を持たず、建設業の許可も持っていません。それ故に、施工体制台帳等を整備するのは、JVを構成する企業が行うことになります。

施工方式が甲型の場合、全構成員が一体となって工事を施工するため、通常、代表者となる企業が施工体制台帳等の整備を行うことになります。
かたや、乙型の場合、共同企業体といっても各構成員が 分担された工区の工事を行う施工方式であるため、基本的に、分担部分を担当するそれぞれの企業が、施工体制台帳等を整備することなります。

■下請を使う場合の注意点は

下請業者がJVの構成員である建設業者である場合、JVの構成員としての企業と下請業者としての企業との契約となり、同一企業が同一契約において双方の当事者となる自己契約(民法108条)に該当しますが、これが直ちに建設業法違反となるわけではありません。しかし、このような契約は、出資比率に比べて構成員が施工の多くを手がけることになることや、他の構成員は、実質的な施工を行わずに出資比率に応じた利益を得ることになる(いわゆる「ペーパーJV」)など、共同企業体制度の趣旨に反します。JV ではそれぞれの出資比率に応じて施工するのが基本です。それ故に、構成員の担当範囲が多くなると予想される場合は、当該構成員の出資比率をそれに見合うように出資比率を変更した上で施工する必要があります。

また、「JV自体が下請企業になる」という事態については考えられなくはありませんが、共同企業体制度は、発注者から直接工事を請け負う元請としての共同企業体を想定したものです。それ故に、下請が共同企業体であることについては想定されておらず、法的な規制はないのです。というものの、施工技術上の必然性がないなどJVに下請させることの合理的な理由を見出すのは困難です。このようなケースでは、共同企業体内のそれぞれの建設業者と個別に下請契約を締結すればよいものと解釈されています。
なお、JV に工事を一括発注するのは、建設業法22条(一括下請負の禁止)に抵触します。

建設業のJV(ジョイントベンチャー)

2016-08-20

■ジョイントベンチャーとは何か
複数の建設企業が、1つの建設工事を受注、施工することを目的として形成する事業組織体のことをジョイントベンチャー (JVあるいは共同企業体) といいます。
JVは、企業体を形成する目的、施工方式によって、各々2つのタイプの共同企業体が存在します。
目的による区分には、大規模で技術的難度の高い工事において技術力等を結集するために形成された特定建設共同企業体(特定JV)と企業の経営力・施工力を強化するために形成された経常建設共同企業体(経常JV)があります。施工方式による区分には、全構成員が資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式(共同施工方式)の甲型企業体と各構成員間で工区を分担し、その工区の責任施工をする方式(分担施工方式)の乙型企業体があります。

■共同企業体(JV)の権利関係はどうなるのか
JVは、一般に民法上の組合と判断されています(平成10年4月14日最高裁判所判決)。そのため、JV自体では法人格を持つことができません。つまり、法人格を持つ社団などと異なり、権利能力を持っていないのです。それ故に、JVとして行った法律行為の権利義務は、各構成員に帰属し、JVに帰属しませんから、JV が下請契約などの法律行為を行うためには、構成員全員の名義を表示しなければならないのです。
具体的には、JVの代表者を定め、代表者がJVの名前で契約を締結するのが通常です。しかし、その場合には、代表者は全構成員の代理人として契約を締結したものと考えられています 。

また、JVの権利(請負代金請求権など)は、各構成員(出資建設企業)が共有します。ただし、民法上の「共有」とは異なり、持分を処分する自由は制限されており、分割請求権は認められていないため、「合有」と呼んでいます。
JVが下請に発注した下請工事代金支払債務などは、通常、組合財産(構成員の出資金)から支払われます。JVの債務などの義務については、全構成員が連帯して、無制限に負います(連帯無限責任) 。それ故に、下請業者は、各構成員の財産に対して強制執行が可能なのです。

■手続きについて
代表者の届出は、仕事開始の日の14日前までに「共同企業体代表者(変更)届」という所定の書面を、仕事が行われる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出することによって完了します。
届出がなされない場合は、代表(責任)者不在ということにはならないように、都道府県労働局長が代表者を指名するしくみがとられています。代表者の選定方法について、労働安全衛生法は「出資割合や工事施工に当たっての責任の程度を考慮して行うこと」と規定しています。原則として、法人の場合は法人代表責任者(社長)を代表者にすることになります。他方、例外として広範囲にわたる職務権限が支店長等に委ねられている場合には、その支店長名をもって代表者とすることもできます。

■JVの形態には2つのタイプがある
JVには、企業体を形成する目的によって、2つのタイプの共同企業体があります。特定建設共同企業体(特定JV)と経常建設共同企業体(経常JV)です。
① 大規模で技術的難度の高い工事を施工する場合
大規模かつ技術難度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより工事の安定的施工を確保できる場合などにおいて、共同企業体による施工が必要と認められる場合、発注される工事ごとに結成される共同企業体のことを特定建設共同企業体(特定JV)といいます。建設業界における専門工事分野は多様化しています。それ故に、ゼネコン(総合建設業)であっても、業種の有無や、同一業種であっても構造物(橋、トンネル、高層ビルなど)ごとの得意・不得意がでてしまうものです。
近年、大規模構造物の建設は、様々な要素が複合して設計されていることが多く、専門工事ごとに分割して発注することが困難な場合があります。これらを補う手法として、各分野に秀でた企業同士がJVを構成することで、1つの工事に対して総合的な受注・施工に対応可能となります。このような背景からか生み出されたのが特定建設共同企業体です。工事の受注に成功した場合、特定JVは工事完了後の請負金請求まで存続することになります 。
公共工事の場合、各工事の発注に関する公告が行われた時点で、発注機関に対してJV結成を届け出ます。各構成員の出資比率は、2社による場合は最低30%、3杜による場合は最低20%とされています。最も出資比率の多い企業が幹事会社(代表者)となり、工事受注・施工について主導します。

② 中小建設企業が経営力・施工力を強化する目的で結成する場合
中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力 を強化する目的で結成する共同企業体をいいます。経常JVは、単体企業と同様の組織とみなされ、発注機関の入札参加資格審査申請時に申請することで、一定期間、有資格業者として登録されます。
受注機会の拡大、利益の向上を目指し、企業規模の小さい建設業者がJVを組織することを行っています。これによって、単体企業では受注できない規模の大きな工事を受注することが可能になります。しかし、近年、自治体における入札方法の多様化などにより、経常JV結成による組織規模の拡大が、必ずしも受注機会の増加につながっていないケースも散見されます。

■施工方式には「甲型」と「乙型」がある
甲型共同企業体とは、全構成員が各々あらかじめ定めた出資割合に応じて、資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式のことです。
それ故に、損益計算については、共同企業体としての会計単位を設けて、合同で損益計算が行われます。各構成員の企業会計への帰属は出資比率に応じたものとなります。また、利益(欠損)金の配分等については、各構成員の出資の割合に応じて配分されます。
乙型共同企業体とは、各構成員間で共同企業体の請け負った工事をあらかじめ工区に分割し、分担工区についてそれぞれの構成員が責任を持って施工する方式(分担施工方式)のことです。
工区ごとの責任体制ですが、最終的には他の構成員の施工した工事についても発注者に対して連帯責任を負うことになります。
損益計算については、各構成員が自分の分担工事ごとに行います。 そのため、構成員の中に、利益を上げた者と損失が生じた者とが発生する可能性があります。また、利益(欠損)金に配分等についても構成員ごとになります。

施工体制台帳の記載・保存

2016-08-19

■施工体制台帳を関係者に周知
元請業者は、施工体制台帳作成工事であることを工事関係者に周知するため、工事現場内の見やすい場所に再下請負通知書の提出案内に関する書面を掲示する必要があります(建設業法施行規則14条の3第1項)。
これを受けて、下請負人がさらにその工事を再下請負した場合、元請業者に対し、再下請負通知書を提出することになっているのです(建設業法24条の7 第2項)。通知書の記載事項は、① 自社に関する事項、②自社が注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項、③自社が下請契約を締結した再下請負人に関する事項、④自社が再下請負人と締結した建設工事の請負契約に関する事項などとなっています。

■一括下請の場合、施工体制台帳に元請負人の記載について
丸投げとも言われる一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下など建設業の健全な発達を阻害するため、建設業法22条では、いかなる方法をもってするのかにかかわらず、一括下請負を禁止しています。
ただ、一括下請負については 、例外規定があり(22条3項)、あらかじめ発注者に書面による承諾を得た場合は、一括下請負ができることになっています。しかし、公共工事においては 、厳格な入札・契約 手続によっていて、一括下請負を認める必要性がないことから、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律12条に基づき、平成13年4月1日以降、一括下請負が全面的に禁止されています。
それ故に、公共工事でなく、民間工事(共同住宅の新築を除く)であれば、例外の適用はありますが 、そのことと、施工体制台帳の作成義務とは関係はありません 。その場合であっても、元請業者として施工体制台帳の作成義務があり、台帳に記載する必要があります。

■下請業者間の下請契約の契約書の写しについての扱い
施工体制台帳に記載すべき下請負人の範囲は、建設工事の請負契約におけるすべての下 請負人を指しますので、一次下請だけでなく二次下請、三次下請等も記載の対象となります。したがって、再下請負通知書の提出義務がありますので、契約書の写しを添付しなければなりません。

■ 施工台帳の保存期間はどのくらいか
施工体制台帳は、担当営業所において 引渡しから5年間は保存しておかなければなりません( 建設業法施行規則28条)。保存しなければならない書類は下記事項が記載されているものです。
① 当該工事に関し、実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名、有する監理技術者資格
②監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格
③ 下請負人(末端までの全業者を指しています。以下同じ)の商号・名称、許可番号
④ 下請負人に請け負わせた建設工事の内容、工期
① 下請業者が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名、有する主任技術者資格
⑥ 下請負人が主任技術者以外に 専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格

施工体制台帳・施工体系図

2016-08-18

■施工体制台帳とは
建設業法は、特定建設業者が、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請代金の総額が3000万円 (建築一式工事 は4500万円)以上になる場合、施工体制台帳を作成することを法定化しています(24条の7)。
施工体制台帳の記載内容には、建設工事を請け負ったすべての業者名、各業者が分担する施工範囲、現場に設置する技術者の氏名などがあります。
施工体制台帳は、公共工事、民間工事を問わず作成する必要があります。さらに、建設工事の目的物を発注者に引き渡すまでの問、工事現場ごとに備え置くことになっています(建設業法施行規則14条の7)。また、建設工事の目的物の引渡し後であっても、施工体制台帳については、担当営業所において引渡しから5年間保存しておくことが義務付けられています(建設業法施行規則28条)。

「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に則って、公共工事については発注者に施工体制台帳の写しを提出することになります。また、民間工事についても発注者から求めがあれば閲覧を認めなければなりません。
このように厳しく施工体制台帳の作成が義務付けられているのは、以下の理由によります。

建設工事の施工は、下請をはじめとした各種専門工事が複雑に組み合わさってなされる総合組立生産方式です。それ故に、建設工事の適正な施工を確保するためには、元請業者が、下請、孫請など専門工事に関わるすべての建設業者を監督し、工事全体の施工を管理することが必須となります。このためにかかせないのが施工体制台帳です。元請業者は、施工体制台帳を作成することによって、自らが管理する現場の施工体制を把握できます。元請業者が施工体制のすべてを把握することによって、下請各社との書面契約の徹底、不良・不適格業者の排除、安易な重層下請の防止を図ることが可能となるのです。これにより建設工事の適正な施工が確保されるわけです。

■施工体制台帳にはどんなことを記載すればよいのか
施工体制台帳には、元請の許可に関する事項、請け負った建設工事に関する事項、請負契約関係(下請負人に関する事項)などを記載しなければなりません(建設業法施行規則14条の2)。
具体的には、施工体制台帳に記載すべき事項は次の通りです。
① 作成特定建設業者に関する次に掲げる事項
ア 作成特定建設業者が許可を受けて営む建設業の種類
イ 健康保険等の加入状況
② 作成特定建設業者が請け負った建設工事に関する次に掲げる事項
ア 建設工事の名称、内容、工期
イ 発注者と請負契約を締結した年月日、発注者の商号名称氏名住所、契約締結した営業所の名称所在地
ウ 発注者が監督員を置くときは、当該監督員の氏名、権限に関する事項、監督員の行為についての注文者に対する意見の申出方法
エ 作成特定建設業者が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名、権限に関する事項、現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法
オ 監理技術者の氏名、監理技術者資格及 び専任の監理技術者であるか否かの別
カ 建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者でホの監理技術者以外の技術者を置くときは、その者の氏名、つかさどる建設工事の内容、その有する主任技術者資格
③ 下請負人に関する次に掲げる事項
ア 商号、名称、住所
イ 当該下請負人が建設業者であるときは、その建設業許可番号及び建設業の種類
ウ 健康保険等の加入状況
④ 下請負人が請け負った建設工事に関する次に掲げる事項
ア 建設工事の名称、内容、工期
イ 当該下請負人が注文者と下請契約を締結した年月日
ウ 注文者が監督員を置くときは当該監督員の氏名、権限に関する事項、監督員の行為についての請負人の注文者に対する意見の申出の方法
エ 当該下請負人が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名、権限に関する事項 、現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法
オ 当該下請負人が建設業者であるときは、その者が置く主任技術者の氏名、主任技術者資格、専任の者であるか否かの別
カ 建設工事の施工の技術上の管理をつかさど る者でホの主任技術者以外の技術者を置くときは、その者の氏名、つかさどる建設工事の内容、その有する主任技術者資格
キ 当該建設工事が作成特定建設業者の請け負わせたものであるとき は、当該建設工事について請負契約を締結した作成の営業所の名称、所在地

■施工体制台帳の作成上の注意点は
施工体制台帳を作成するには、元請、一次下請、二次下請以下の契約締結に併せ、それぞれの必要書類(添付書類を含む)を作成、取りまとめていかなけれなりません。
① 公共工事の発注者と特定建設業者との請負契約締結元請業者として、契約内容や技術者などの施工体制台帳記載事項を整備します。
② 一次下請負契約を締結 一次下請負人に対し施工体制台帳作成工事である旨の通知を行うと共に、工事現場の見やすい場所に下請負人に対する通知事項が記載された書面を掲示し、施工体制台帳を整備します。
③ 二次下請負契約を締結
一次下請負人から提出された再下請負通知書により、又は自ら把握した施工に携わる下請負人に関する情報に基づき施工体制台帳を整備します。

上記のように、下請を繰り返すたびに、再下請負通知書が元請業者に提出されるしくみになっており、その都度に、施工体制台帳が整備されることになります。

■施工体系図とは
施工体系図は、作成された施工体制台帳に基づいて、各下請負人の 施工分担関係が一目でわかるようにした図です。施工体系図を見れば、工事に携わる関係者全員が工事における施工分担関係を把握できます。
施工体系図は工事の期間中、公共工事については工事現場の工事関係者が見やすい場所及び公衆の見やすい場所に、民間工事については工事関係者が見やすい場所に、掲示するようになっています(建設業法24条の7第4項、建設業法施行規則14条の7)。なお、下請業者の変更などがあった場合は、速やかに施工体系図の表示の変更をする必要があります。

■施工体系図にはどんなことを記載すればよいのか
施工体系図に記載すべき内容は次の通りです(建設業法施行規則14条の6)。
施工体系図は、施工体制台帳の要約版といえます。これにより、各下請負人の施工分担関係が一目で把握することができます。
施工体系図に記載すべき事項は次の通りです。
① 発注者名、工事名称、工期
② 元請業者名、請負工事の内容
③ 監理技術者の氏名、専門技術者を置く場合は、氏名及び担当工事の内容
④ 下請負人名、担当工事の内容、工期、下請負人が置く主任技術者の氏名、専門技術者を置く場合、専門技術者の氏名及び担当工事の内容
施工体系図は 、発注者から請け負った建設工事目的物を発注者に引き渡すまで掲示することになっています。なお、請負関係が途中で消滅することもありますが、その場合は請負関係についての債権・債務が消滅するまで施工体系図を掲示することになります(建設業法施行規則14条の7)。

技術者制度の特例

2016-08-16

■工事現場に配置する監理技術者等の雇用関係と特例とは

監理技術者等の雇用関係については、国土交通省が作成した「監理技術者制度運用マニュアル 」に「建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要」であると記されています。「直接的かつ恒常的な雇用関係」とは、いかなることでしょうか。以下に記載します。

①直接的な雇用関係
直接的な雇用関係とは、監理技術者等とその所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係(賃金、労働時間、雇用、権利構成)が存在することを意味しています。それ故に、在籍出向者、派遣社員などは直接的雇用関係ではありません。

②慣常的な雇用関係
恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることを意味します。それ故に、1つの工事の期間のみの短期雇用は恒常的な雇用関係ではありません。また、恒常的な雇用関係と認められるためには、入札の申込のあった日以前に3か月以上の雇用関係があることが必要となります。恒常的な雇用関係の確認については、資格者証の交付年月日又は変更履歴、健康保険被保険者証の交付年月日等により確認できます。

監理技術者等の雇用関係は前述の通りですが、持株会社化など建設業を取り巻く経営環境の変化等に対応するために、直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱いの特例を以下の通りに定めています。
○営業譲渡又は会社分割の場合
営業譲渡の日や会社分割の登記をした日から3年以内に限り、出向社員と出向先企業との聞に、直接的かつ恒常的な雇用関係があるとみなされます 。
○持株会社の子会社の場合
国土交通大臣の認定を受けた企業集団で、親会社から子会社へ出向した社員を子会社が工事現場に主任技術者や監理技術者として配置する場合、出向社員と子会社との聞に、直接的かつ恒常的な雇用関係があるものとみなされます。
○親会社及びその連結子会社の場合連結財務諸表提出会社である親会社と連結子会社からなる企業集団
に属する建設業者間の出 向社員を、出向先企業が工事現場に主任技術者や監理技術者として配置する場合は、出向社員と出向先企業との聞に、直接的かつ恒常的な雇用関係があるものとみなされます。

■現場技術者の専任とは

「公共性のある工作物に関する重要な工事」については、その現場ごとに工事技術者の専任が求められています(26条3項。専任とは、「他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していること」をいいます(監理技術者制度運用マニュアル、三)。

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現場に専任で設置すべき期間は契約工期が基本となります。しかし、以下のケースにおいては、たとえ契約工期中であっても専任の必要はありません(監理技術者制度運用マニュアル 、三( 2 ))。ただし、いずれの場合も、発注者と建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書若しくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが 必要です。
a現場施工に着手するまでの期間
現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事 等が開始されるまでの準備期間
b工事を全面的に一時中止している期間自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
c工場製作のみが行われている期間
橋梁、ポンプ、ゲート、エレベータ一等の工場製作を含む工事であって、工場製作のみが行われている期間
d工事完成後の期間
工事完成検査後の事務手続き等のみが残っている期間
なお、下請工事においては、施工が断続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、下請工事が実際に施工されている期間とされてい ます。

■交代する場合や現場代理人との関係

技術者については交代や変更が問題になることもあります。
①変更や途中交代
当初、主任技術者を設置した工事であったが、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負代金の額が3000万円(建築一 式工事の場合は4500万円)以上 となったような場合、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければなりません 。ただし、工事施工当初から変更があらかじめ予想される場合は、当初から監理技術者になり得る資格を持つ技術者 を配置しなければなりません。
また、建設工事の適正な施工の確保を阻 害する要因となるため、施工管理をつかさどっている監理技術者等についての工期途中での交代は、原則として認められ ません。しかし、監理技術者等の死亡、傷病又は退職等、真にやむを得ない場合 は途中交代が認められています。

② 現場代理人との兼務
現場代理人とは、工事現場に常駐し、全体の運営を取り締まる他、請負額の変更など契約に係わる権限等を除き、請負者の一切の権限を行使することができる者とされています(公共工事標準請負契約約款10条)。現場代理人は、法律上の特別な資格要件はありませんが、直接的かつ恒常的な雇用関係 (正社員)であることが必要です。「常駐」とは、当該工事のみを担当しているだけでなく、工事期間中、常に工事現場に滞在していることを指しています。

それ故に、原則として他の工事と重複して現場代理人となることはできません。しかし、以下のような場合は例外として兼務することが認められます。
密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は隣接した場所において施工する場合に限り、関連する他工事の現場代理人及び主任技術者又は監理技術者を兼務することができます。 また、同一請負契約で兼任した場合にあっても、当該工事が技術者の専任を要しない工事である場合には、請負金額500万円未満の他工事の現場責任者及び主任技術者を同時 に1件に限り兼務することができます。
なお、営業所における専任技術者及び経営業務の管理責任者は、現場代理人となることはできないので、これとの兼務はありません 。

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