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Chapter3 建設法務に関連する諸制度 建設業の法務・労務

建設業のJV(ジョイントベンチャー)

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■ジョイントベンチャーとは何か
複数の建設企業が、1つの建設工事を受注、施工することを目的として形成する事業組織体のことをジョイントベンチャー (JVあるいは共同企業体) といいます。
JVは、企業体を形成する目的、施工方式によって、各々2つのタイプの共同企業体が存在します。
目的による区分には、大規模で技術的難度の高い工事において技術力等を結集するために形成された特定建設共同企業体(特定JV)と企業の経営力・施工力を強化するために形成された経常建設共同企業体(経常JV)があります。施工方式による区分には、全構成員が資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式(共同施工方式)の甲型企業体と各構成員間で工区を分担し、その工区の責任施工をする方式(分担施工方式)の乙型企業体があります。

■共同企業体(JV)の権利関係はどうなるのか
JVは、一般に民法上の組合と判断されています(平成10年4月14日最高裁判所判決)。そのため、JV自体では法人格を持つことができません。つまり、法人格を持つ社団などと異なり、権利能力を持っていないのです。それ故に、JVとして行った法律行為の権利義務は、各構成員に帰属し、JVに帰属しませんから、JV が下請契約などの法律行為を行うためには、構成員全員の名義を表示しなければならないのです。
具体的には、JVの代表者を定め、代表者がJVの名前で契約を締結するのが通常です。しかし、その場合には、代表者は全構成員の代理人として契約を締結したものと考えられています 。

また、JVの権利(請負代金請求権など)は、各構成員(出資建設企業)が共有します。ただし、民法上の「共有」とは異なり、持分を処分する自由は制限されており、分割請求権は認められていないため、「合有」と呼んでいます。
JVが下請に発注した下請工事代金支払債務などは、通常、組合財産(構成員の出資金)から支払われます。JVの債務などの義務については、全構成員が連帯して、無制限に負います(連帯無限責任) 。それ故に、下請業者は、各構成員の財産に対して強制執行が可能なのです。

■手続きについて
代表者の届出は、仕事開始の日の14日前までに「共同企業体代表者(変更)届」という所定の書面を、仕事が行われる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出することによって完了します。
届出がなされない場合は、代表(責任)者不在ということにはならないように、都道府県労働局長が代表者を指名するしくみがとられています。代表者の選定方法について、労働安全衛生法は「出資割合や工事施工に当たっての責任の程度を考慮して行うこと」と規定しています。原則として、法人の場合は法人代表責任者(社長)を代表者にすることになります。他方、例外として広範囲にわたる職務権限が支店長等に委ねられている場合には、その支店長名をもって代表者とすることもできます。

■JVの形態には2つのタイプがある
JVには、企業体を形成する目的によって、2つのタイプの共同企業体があります。特定建設共同企業体(特定JV)と経常建設共同企業体(経常JV)です。
① 大規模で技術的難度の高い工事を施工する場合
大規模かつ技術難度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより工事の安定的施工を確保できる場合などにおいて、共同企業体による施工が必要と認められる場合、発注される工事ごとに結成される共同企業体のことを特定建設共同企業体(特定JV)といいます。建設業界における専門工事分野は多様化しています。それ故に、ゼネコン(総合建設業)であっても、業種の有無や、同一業種であっても構造物(橋、トンネル、高層ビルなど)ごとの得意・不得意がでてしまうものです。
近年、大規模構造物の建設は、様々な要素が複合して設計されていることが多く、専門工事ごとに分割して発注することが困難な場合があります。これらを補う手法として、各分野に秀でた企業同士がJVを構成することで、1つの工事に対して総合的な受注・施工に対応可能となります。このような背景からか生み出されたのが特定建設共同企業体です。工事の受注に成功した場合、特定JVは工事完了後の請負金請求まで存続することになります 。
公共工事の場合、各工事の発注に関する公告が行われた時点で、発注機関に対してJV結成を届け出ます。各構成員の出資比率は、2社による場合は最低30%、3杜による場合は最低20%とされています。最も出資比率の多い企業が幹事会社(代表者)となり、工事受注・施工について主導します。

② 中小建設企業が経営力・施工力を強化する目的で結成する場合
中小・中堅建設業者が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力 を強化する目的で結成する共同企業体をいいます。経常JVは、単体企業と同様の組織とみなされ、発注機関の入札参加資格審査申請時に申請することで、一定期間、有資格業者として登録されます。
受注機会の拡大、利益の向上を目指し、企業規模の小さい建設業者がJVを組織することを行っています。これによって、単体企業では受注できない規模の大きな工事を受注することが可能になります。しかし、近年、自治体における入札方法の多様化などにより、経常JV結成による組織規模の拡大が、必ずしも受注機会の増加につながっていないケースも散見されます。

■施工方式には「甲型」と「乙型」がある
甲型共同企業体とは、全構成員が各々あらかじめ定めた出資割合に応じて、資金、人員、機械等を拠出して一体となって工事を施工する方式のことです。
それ故に、損益計算については、共同企業体としての会計単位を設けて、合同で損益計算が行われます。各構成員の企業会計への帰属は出資比率に応じたものとなります。また、利益(欠損)金の配分等については、各構成員の出資の割合に応じて配分されます。
乙型共同企業体とは、各構成員間で共同企業体の請け負った工事をあらかじめ工区に分割し、分担工区についてそれぞれの構成員が責任を持って施工する方式(分担施工方式)のことです。
工区ごとの責任体制ですが、最終的には他の構成員の施工した工事についても発注者に対して連帯責任を負うことになります。
損益計算については、各構成員が自分の分担工事ごとに行います。 そのため、構成員の中に、利益を上げた者と損失が生じた者とが発生する可能性があります。また、利益(欠損)金に配分等についても構成員ごとになります。

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