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建設業の元請人 下請負人 発注者 注文者
元請人 下請負人 発注者 注文者
■元請人
建設業者であり、下請契約での注文者である者。
■下請負人
下請契約における請負人となる者。
■下請契約
「建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者」と
「他の建設業を営む者」によって締結される契約です。
■注文者と発注者
発注者は、最初の注文者を示しています。
建設業で言えば、施主さんです。
一方、注文者は、下請関係にも存在し、元請と下請けの元請は「注文者」と言えます。
建設業法の規定
建設業法第2条では、以下のように規定されています。
2.この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3.この法律において「建設業者」とは、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
4.この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
5.この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。
建設工事請負の標準請負契約約款
請負契約の問題点
建設工事の請負契約は、そもそも発注者と受注者の間で交わすものです。
しかし、
①合意内容、合意形成が不十分、不正確の場合がある。
②発注者と受注者の力関係に差があることが多い。
という2点から、のちのちの争いを生じがちです。
つまり、建設業界の健全性や適正さが阻害されてしまいます。
そこで、建設業法は第3章で「請負契約の適正化の規定」を設定し、第34条2項で「標準請負契約約款を作成し、その実施を当事者に勧告する」と定めています。
建設業法第3章
第一節 通則
(建設工事の請負契約の原則)
第十八条
建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結
し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。
以下 略
建設業法 第34条2項
2項 中央建設業審議会は、建設工事の標準請負契約約款、入札の参加者の資格に関する基準並びに予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準を作成し、並びにその実施を勧告することができる。
標準請負契約約款
上述の建設業法の主旨を受けたものが、
○公共工事標準請負契約約款
○民間工事標準請負契約約款
○建設工事標準下請契約約款
となります。
建設工事請負の注文書 請書
建設工事の注文書・請書
建設業法第19条で、
建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際し、同条第1項各号に掲げられた事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない
と規定しています。
しかし、現実の建設業の現場では、注文書・請書でのやりとりがほとんどのようです。
そこで、国土交通省では「注文書及び請書による契約の締結について」以下のようにまとめています。
(1)当事者間で基本契約書を締結した上で、具体の取引については注文書及び請書の交換による場合
①基本契約書には、個別の注文書及び請書に記載される事項を除き、法第19条第1項各号に掲げる事項を記載し、当事者の署名又は記名押印をして相互に交付すること。
②注文書及び請書には、法第19条第1項第1号から第3号までに掲げる事項その他必要な事項を記載すること。
③注文書及び請書には、それぞれ注文書及び請書に記載されている事項以外の事項については基本契約書の定めによるべきことが明記されていること。
④注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。(2)注文書及び請書の交換のみによる場合
①注文書及び請書のそれぞれに、同内容の基本契約約款を添付又は印刷すること。
②基本契約約款には、注文書及び請書の個別的記載事項を除き、法第19条第1項各号に掲げる事項を記載すること。
③注文書又は請書と基本契約約款が複数枚に及ぶ場合には、割印を押すこと。
④注文書及び請書の個別的記載欄には、法第19条第1項第1号から第3号までに掲げる事項その他必要な事項を記載すること。
⑤注文書及び請書の個別的記載欄には、それぞれの個別的記載欄に記載されている事項以外の事項については基本契約約款の定めによるべきことが明記されていること。
⑥注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。
2.注文書・請書による請負契約を変更する場合において、当該変更内容が注文書及び請書の個別的記載事項に係るもののみであるときは、次によることができる。
①注文書及び請書の双方に変更内容が明記されていること。
②注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名押印すること。
ただし、当該変更内容に注文書及び請書の個別的記載事項以外のものが含まれる場合には、当該変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付すること。
建設業法上の建設工事請負契約書
建設業法においての建設工事請負契約書
建設業法では、契約の締結において14の事項を書面記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと規定しています。
1.建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
1.工事内容
2.請負代金の額
3.工事着手の時期及び工事完成の時期
4.請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
5.当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
6.天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
7.価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
8.工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
9.注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
10.注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
11.工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
12.工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
13.各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
14.契約に関する紛争の解決方法
また、上記14項目に変更があれば、その変更内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないと規定しています。
2.請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
上記の書面の契約書作成についての例外はありませんので、厳密、厳格な対処が要求されます。
業務委託契約書などの名称
契約書のタイトルが「建設工事請負契約書」という名称でない場合もありますが、名称が違っても実質的な工事の内容は「建設工事請負」のケースもあります。
建設業許可を取得していない建設業者が請負工事を恣意的に隠す場合にこの方法を用いることがあるのです。
正に悪質な行為と言えるでしょう。
これに対し、建設業法はつぎのように規定しています。
第二十四条 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
契約書のタイトルに惑わされず、その内容を理解、把握して請負工事か否かを判断する必要があります。
建設業法へ該当する工事なのか
建設業に該当するか否かの判断が難しい工事
建設業許可における業種は、全部で29業種あります。
それぞれの業種の枠組みにすっきり収まるものはいいのですが、
なかには、建設業法においての建設工事なのか否かが判断しづらいものもあります。
建設機械のオペレーター付リース契約は建設工事
形としてはリース契約です。
しかし、実際の行為は、「建設工事の完成」を目的にしています。
そうすると、「建設機械のオペレーター付リース契約」は建設工事なのか、それとも違うのかという疑問が生じますね。
結論として、建設機械のオペレーター付リース契約は建設工事の請負契約に該当するとされています。
保守点検工事
すでに建設工事が完了して、機能している設備に対して、メンテナンスを施すケースは、建設業法上の建設工事なのでしょうか。
このケースでは、
①設備の機能を向上させる行為
②設備の機能を回復させる行為
の場合は、建設工事に該当します
建設業許可の単価契約(建設業法の解釈)
建設業の単価契約と請負契約
建設業の契約方法のひとつに「単価契約」があります。
この単価契約は、建設業法上はどのように考えられているのでしょうか。
建設業法は以下のように規定しています。
建設業法第24条
委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
つまり、単価契約も上記の「建設業法第24条」に適合しているものは、建設工事の請負契約と判断されるということです。
単価契約して毎日の工事に従事しても、従事した工事全体で1個の契約としても、結局双方ともに建設工事の請負契約となります。
建設工事の請負に係る義務などもすべからく、上記の単価契約に課せられます。
建設業許可を必要としない軽微な建設工事
単価契約した工事が、「軽微な建設工事」なのか否かの判断は、日々の金額の合計額で判断されます。
○単価契約で1日が150万円で3日間従事した場合
→150万円×3日=450万円(軽微な建設工事となる。)
○単価契約で1日が150万円で4日間従事した場合
→150万円×4日=600万円(軽微な建設工事ではない。)
建設工事の請負
建設工事の請負となる対象
請負とは、民法上以下のように規定されます。
民法632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
また、委任は民法上以下のように規定されます。
民法643条
実際の現実的な契約の名目は様々なものがあります。
委託や委任のような名称を使っていても、実態は「請負」であることが多く、このように名目を請負以外にする法律の抜け道をつく行為を抑制するため、建設業法はいかのように規定をしています。
建設業法第24条
実態が請負にもかかわらず、名目をかえるような脱法行為を行っても、結局は法に觝触することになります。
建設業の帳簿を電子ファイル化保存
建設業の帳簿の保存をパソコンデータで保存する
建設業法において、営業所の事業に関する帳簿の保存については、建設業法第40条の3にて、次の規定がなされています。
第四十条の三
帳簿をパソコンデータで保存する
現代において、ペーパーレス化も進んでいます。
ビジネスの通常業務は、ほぼパソコンによって企画書等の書類が作成されます。
当然に、帳簿関係もパソコンで作成され、保存は電子ファイルになります。
帳簿保存について、建設業法施工規則第26条6項、7項で以下のように規定されています。
つまり、帳簿の電子ファイルでの保存は認められています。
建設業の帳簿
建設業の帳簿の備付け
建設業法では、帳簿作成・保管について規定を設けています。
建設業法第40条3
建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
建設業の帳簿の内容
帳簿には以下の内容が記載されます。
1 営業所の代表者の氏名、代表者となった年月日
2 注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次の事項
(2) 注文者との契約日
(3) 注文者の商号、住所、許可番号
(4) 注文者から受けた完成検査の年月日
(5) 工事目的物を注文者に引き渡した年月日
3 発注者(除く、宅地建物取引業者)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する次の事項
(2) 住宅が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令第3条第1項の建設新築住宅の際、同項の書面に記載された2以上の建設業者それぞれの建設瑕疵負担割合の合計に対する当該建設業者の建設瑕疵負担割合の割合
(3) 住宅について、住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅建設瑕疵担保責任保険を締結し、保険証券またはこれに代わるべき書面を発注者に交付している際は、当該住宅瑕疵担保責任保険法人の名前
4 下請負人と締結した下請契約に関する事項
(2) 下請負人との契約日
(3) 下請負人の商号または名称、住所、許可番号
(4) 下請工事の完成を確認するために「自社が行った検査」の年月日
(5) 下請工事の目的物について「下請業者から引き渡しを受けた」年月日
特定建設業者が注文者(元請とは限らない)となり、一般建設業者(除く、資本金4,000万円以上の法人企業)に建設工事を下請負した際、以下の事項も記載
①支払った下請代金の額、支払った年月日と支払の手段
②下請代金の支払に手形を交付した際、手形の金額、交付年月日、満期
③下請代金の一部を支払った際、下請代金の残高
④下請負人からの引き渡しの申出から50日を経過した際に発生する遅延利息を支払った際、遅延利息の額と支払年月日
労働基準法違反と許可の取消
欠格要件に該当する「強制労働の禁止」、「中間搾取の排除」への觝触
労働基準法第5条は次のように規定しています。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
また、労働基準法第6条は次のように規定しています。
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
上記の労働基準法第5条の強制労働の禁止、第6条の中間搾取の排除に違反し、罰金刑以上の刑を受けた場合は、欠格要件に觝触し、建設業許可は取消となります。
欠格要件に該当する「労働時間」、「休憩・休日」の規定への觝触
「労働時間」、「休憩・休日」の規定への觝触は、禁固刑以上の刑を処せられた場合、建設業許可は取消となります。
参考として、労働基準法第32条を記載しておきます。
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。